日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前化学療法にてpCRが得られた後,早期に炎症性乳癌型再発をきたした乳癌の1例
西山 康之坂口 潮村本 一浩柳澤 克嘉蔵野 良一岩瀬 弘敬
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2008 年 69 巻 11 号 p. 2809-2812

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抄録

症例は59歳,女性.T3 N3a M0 ER(-) PgR(-) HER2陽性.CEF100×4→DTX×4+トラスツズマブを施行後,理学所見・画像上腫瘍が消失したためBp+Axを施行し術後50Gyの照射を行った.切除標本において組織学的治療効果判定Grade 3,リンパ節転移も消失していた.しかし術後5カ月で局所に炎症性乳癌型再発をきたした.
術前化学療法を行う上でpathological CR(pCR)は良好な予後を示すsurrogate markerとして有用である.一方,炎症性乳癌型再発は極めて予後不良とされている.しかし,術前化学療法~手術後の炎症性乳癌型再発に関してはまとまった報告はみられず,その発生頻度,予後など不明な点が多い.今回われわれは術前化学療法後pCRが得られたが,早期に炎症性再発をきたした症例を経験したので報告する.

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© 2008 日本臨床外科学会
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