日本臨床外科学会雑誌
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症例
環境曝露によって発症した悪性胸膜中皮腫の1例
松田 英祐岡部 和倫小林 成紀平澤 克敏杉 和郎
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2008 年 69 巻 11 号 p. 2832-2835

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抄録

症例は51歳,女性.2007年1月,胸痛を主訴に近医を受診した.その際に左胸水を指摘された.胸水穿刺をされたが診断には至らず,その後胸水が消失したことから経過観察されていた.同年8月,再度胸水が貯留したため10月に胸膜生検が行われ,悪性胸膜中皮腫と診断された.加療目的に11月,当院へ紹介となった.左胸膜外肺全摘術を行い,良好に経過している.職業歴から職業曝露は考えられず,また現在の住居も住宅街で周辺に工場はなく環境曝露も否定的と思われた.しかし18歳まで尼崎市に在住し,アスベスト関連工場の近隣に居住していた.他にアスベストに曝露された原因は考えられず,18歳時までの環境曝露による悪性胸膜中皮腫であると考えられた.肺内アスベスト小体を計測したところ職業曝露が疑われる数のアスベスト小体を認め,アスベスト曝露を証明する結果であった.

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© 2008 日本臨床外科学会
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