抄録
症例は42歳,女性.平成17年8月に左乳癌(T1b N0M0 stage I)に対して乳房円状部分切除およびセンチネルリンパ節生検を施行した.術後,残存乳房に対して放射線照射(合計56Gy)を行った.照射後2カ月後に発熱・咳嗽が出現し,胸部X線写真にて左上下肺野に浸潤影を,胸部CTでは左上葉から左下葉にairbronchogramを伴うconsolidationが認められた.初めに細菌性肺炎を疑い抗生剤を投与したが改善しないため,放射線肺臓炎と判断しプレドニゾロンの投与を開始した.症状・画像所見とも改善したためプレドニゾロンを漸減したところ再燃した.ここでbronchiolitis obliterans organizing pneumonia(BOOP)を疑いBALとTBLBを施行し,BOOPと診断された.治療は再びプレドニゾロン20mgより開始したところ,症状および画像所見は軽快した.プレドニゾロンは引き続き漸減したが,5mgの時点で再燃したため,再びプレドニゾロンの増量を行った.その後もプレドニゾロンの漸減中に計4回ほど再燃を起したが,4回目の再燃後は臨床症状が軽度なためステロイド投与を中止し経過を観察した.現在までに1年経過しているが再燃は認めていない.最近,乳房温存療法後の合併症の1つとして照射後のBOOPが報告されている.重篤化したという報告はないが,自験例のように再燃を繰り返すこともあり,乳房温存療法後の放射線治療の合併症として念頭に置くべきであると考えられた。