2008 年 69 巻 2 号 p. 328-331
症例は22歳,男性.平成18年9月頃から呂律が回りづらく徐々に悪化していた.筋力の低下も出現し,当院神経内科紹介され精査を施行され筋緊張性ジストロフィーと診断された.スクリーニングの為撮影した胸部CTにて前縦隔腫瘍を指摘され平成19年2月当科紹介となった.確定診断を得るため摘出生検を施行した.術後は手術室にて抜管可能であったが喀痰が多く,喀出も不良であり高炭酸ガス血症を生じ,胸部X線写真上無気肺を認め気管支鏡下に喀痰吸引を施行した.第4病日より歩行を開始してから喀痰も自己喀出可能となり術後12日目に退院となった.筋緊張性ジストロフィーは周術期管理に関して注意が必要とされ,術前に十分な説明と対処法を考慮しておくことが重要であると考えられた.