日本臨床外科学会雑誌
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症例
卵巣嚢腫出血が横隔膜を介し左血胸に進展したと考えられた1例
根津 賢司高橋 広松岡 欣也佐川 庸酒井 堅
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2008 年 69 巻 2 号 p. 332-336

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抄録
症例は22歳,女性.下腹部痛を主訴に近医を受診し,腹腔内出血の診断にて当院3次救急搬送された.腹部造影CTにて左卵巣の嚢胞性病変および周囲血管からの造影剤漏出,腹腔内出血を認めた.入院後経時的に貧血の進行を認め,緊急手術の方針となったが,術前胸部単純X線写真,CTにて左胸水も認め,胸腔ドレーンを挿入し,血胸と診断した.全身麻酔下に腹腔鏡下手術を開始し,出血部は左卵巣嚢腫破裂部であり,嚢腫摘出を施行した.胸腔ドレーン血性排液は650ml,腹腔内出血は500mlであり,両者の性状は同じであった.血胸の原因が不明のため,術後胸腔ドレーンよりウログラフィンによる胸腔造影を施行したところ,腹腔内への造影剤漏出を認め,左横隔膜に小孔の存在が推測された.本症例では腹腔内出血による腹圧上昇と呼吸運動による胸腔内の陰圧により腹腔内出血が横隔膜小孔を通じて胸腔内に引き込まれたものと考えられ,本邦報告例ではこれまで1例のみで非常に稀な病態であった.
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© 2008 日本臨床外科学会
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