69 巻 (2008) 4 号 p. 820-823
症例は57歳の男性で,食後の嘔吐が続くため近医を受診した.腹部造影CTで十二指腸水平部に壁肥厚像を認め,精査加療目的に当科紹介受診した.小腸造影検査で十二指腸水平部に約3cmにわたる狭窄像を認め,小腸内視鏡検査では同部位に亜全周性の腫瘤を認めた.生検組織診断は中分化腺癌であった.十二指腸水平部原発十二指腸癌の診断で,膵頭十二指腸切除術を施行した.手術では腫瘍の空腸間膜起始部への浸潤が疑われた.切除標本の病理組織学的検査では,1型,4.0×2.5cmの中分化腺癌で,後腹膜脂肪織への浸潤を認めた.また第1空腸動脈根部近くのリンパ節に転移を認めた.術後診断は水平部原発十二指腸癌,T3N1M0StageIIIであった.水平部原発十二指腸癌は原発性十二指腸癌の中でも約15~33%と稀である.