抄録
症例は72歳,女性.既往歴に特筆事項なく健常者であった.2007年3月に発熱あり,近医にて肺炎として加療され軽快した.同年4月,再度発熱を生じ前医に入院となった.胸部CTにて中縦隔に嚢胞様の腫瘤を認め,CRPも22.3mg/mlと上昇しており,当院へ紹介となった.入院時検査所見で高度の炎症反応と,胸部CTで大動脈基部右側に約4cm大の辺縁がリング状に造影される腫瘤を認めた.縦隔膿瘍を疑い,胸腔鏡下縦隔ドレナージ術を行った.排液の培養検査でNocardia asteroidesを認め肺ノカルジア症と診断した.術後にミノマイシンとST合剤の投与を6カ月間行うこととし,軽快退院した.6カ月後の現在,再燃を認めない.肺ノカルジア症は一般にcompromized hostに発症するが,健常者にも発症することがある.本症は治療が遅れ他臓器に播種した場合,予後が著しく不良であり注意を要する.