抄録
症例は69歳,男性.2006年6月に当科で先天性胆道拡張症術後の遺残膵内胆管腺扁平上皮癌にて膵頭十二指腸切除術(PD-I)を施行された.術後約6カ月後に発熱をきたして当院を受診し,血液検査で著明な炎症所見とCEAの高値を認めた.腹部超音波検査および腹部造影CTで肝S7に腫瘍を認め,肝転移あるいは肝膿瘍の鑑別診断が困難であった.保存的治療にても発熱,炎症所見は改善せず,腫瘍も増大傾向がみられたため,針穿刺を行った.病理組織学的に胆管腺扁平上皮癌の肝転移と診断された.5-FU+CDDPの肝動注化学療法を行ったところ肝転移は著明に縮小し,発熱,炎症所見も軽快してCEAは正常値となった.胆管腺扁平上皮癌の予後はきわめて不良で,治癒切除が行われても比較的早期に再発,転移をきたしやすい.有効な集学的治療法は確立されていないが,肝転移に対しては肝動注化学療法が治療法の選択肢の一つになりうると考えられた.