2008 年 69 巻 7 号 p. 1764-1769
比較的稀な胆嚢管走行異常の一つである重複胆嚢管を伴う胆石症を2例経験したので報告する.症例1は60歳の女性で,検診での腹部超音波検査にて胆石および小隆起性病変を認めた.腹腔鏡下の術中胆道造影検査にて胆嚢の描出を認め右肝管に流入する別の胆嚢管構造を認めた.同管状構造より胆道造影を再施行し右肝管より分岐することを再確認し,胆嚢摘出術を施行した.症例2は46歳の男性で,胆嚢炎を繰り返す胆石症である.腹腔鏡下の術中胆道造影検査にて,胆嚢の描出を認め右肝管に流入する別の胆嚢管構造を認めた.重複胆嚢管と診断し,両胆嚢管を切離した後,胆嚢を摘出した.重複胆嚢管はまれな胆嚢管走行異常であり直接造影検査を行っても術前の確定診断は困難である.まれではあるが重複胆嚢管をも想定した術中胆道造影および術中操作の必要性が再認識された.重複胆嚢管についての報告も集積されつつあり,文献的考察を加え報告する.