抄録
海洋産カニ殻廃棄物から工業的に生産された粗キチンの給与が低ヨウ素飼料を摂取した雛の甲状腺機能におよぼす影響を検討するために,初生雛を用いて2つの実験をした。実験1では,雛を4種類の試験飼料区に割り当て,それぞれの飼料を3週間給与した。低ヨウ素基礎飼料に5%の粗キチンおよび0.5mg/kgのKIを同時にあるいは単独に添加した飼料を試験飼料とした。実験2は,低ヨウ素飼料にチオウラシル(TU)を0.03%添加した飼料を基礎飼料としたことを除いて実験1と同様に行った。実験1において,粗キチンあるいはKIを添加すると,低ヨウ素飼料を給与した時の血漿中サイロキシン濃度の減少,甲状腺肥大および腹腔内脂肪の過剰蓄積が改善された。しかし,KI添加飼料を摂取している雛ではこれらに対する粗キチン添加の影響は認められなかった。実験2において,低ヨウ素飼料に0.03% TUを添加した時の成長停滞および腹腔内脂肪の過剰蓄積は粗キチンあるいはKIの添加によって軽減された。しかし,粗キチン,KIおよび粗キチン+KIを添加した飼料区間に著しい違いは無かった。
以上の結果から,粗キチンの給与は低ヨウ素飼料またはこれにTUを添加した飼料の摂取によって引き起こされた雛の甲状腺機能の低下を改善することが示唆された。