日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
保存的治療により軽快した魚骨による小腸穿通の1例
樫山 紀幸水島 恒和位藤 俊一水野 均中川 朋伊豆蔵 正明
著者情報
キーワード: 魚骨, 小腸穿通, 保存的治療
ジャーナル フリー

2008 年 69 巻 9 号 p. 2261-2265

詳細
抄録

症例は38歳,男性.カレイの唐揚げの摂食後7日目に下腹部痛が増強して来院した.CTにて小腸内に35mm長のhigh densityな線状陰影を認め,魚骨と考えられた.周囲の腸間膜にdirty fat signを認め,魚骨による穿通性腹膜炎と診断した.dirty fat signが限局し,明らかなfree airを認めなかったことから,絶飲食と抗生剤による保存的治療を行った.入院2日目には腹痛は改善した.入院8日目には腹部CT検査にてliner high densityは消失しており,魚骨は排泄されたと考えられた.入院10日目にはほぼ炎症所見は消失したため退院した.今回,腹部CT検査で経時的に観察し,保存的に治療しえた魚骨による穿通性腹膜炎の1例を経験した.魚骨による穿通性腹膜炎の診断と経時的観察にはCTが有用であった.

著者関連情報
© 2008 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top