2008 年 69 巻 9 号 p. 2404-2407
症例は81歳,女性.腰椎圧迫骨折にて当院整形外科で平成19年4月に後方固定術を施行.第4病日に腹満感,軽度の腹痛を主訴に外科に紹介となった.白血球数,CRPが上昇していたが,圧痛や筋性防御認めず,腹部単純X線,腹部超音波検査でも異常を認めず経過観察となった.2日後に嘔気,右上腹部に筋性防御出現し,CT撮影したところ胆嚢周囲を中心として腹水の貯留を認め,穿刺すると胆汁性腹水であったため,同日胆嚢穿孔疑いにて手術を施行した.開腹すると胆嚢は一部壊死を起こしていたが明らかな穿孔は認めず,胆嚢摘出術およびドレナージ術を施行した.組織学的には胆嚢壁は体部から底部にかけて壊死を起こし菲薄化していたが穿孔部位は同定されなかったため,漏出性胆汁性腹膜炎と考えられた.胆嚢壁内に血栓の形成を認めたことから,虚血性変化が機序として考えられた.