日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
Behçet病患者に発症した脾動脈瘤破裂の1例
佐藤 征二郎蛭川 浩史多田 哲也
著者情報
キーワード: Behçet病, 脾動脈瘤
ジャーナル フリー

2009 年 70 巻 1 号 p. 209-212

詳細
抄録

Behçet病での動脈瘤形成,動脈閉塞,静脈血栓閉塞といった血管病変を示す血管Behçetの頻度は20%程度と言われている.Behçet病に合併した動脈瘤は胸腹部大動脈などの報告は多いが,内臓動脈である脾動脈例は極めて稀であり報告する.
症例は33歳,男性.不全型Behçet病と診断されプレドニゾロン10mg/日内服中であった.左側腹部痛を主訴に救急外来受診.血圧90mmHg,Hb 8.8g/dl,CTで脾動脈の著明な拡張と脾周囲の液体貯留を認め脾動脈瘤破裂による出血性ショックと診断し緊急手術を施行.手術所見では,脾門部の約6cmの動脈瘤とこれに連続した脾の2cmの裂傷を認め膵体尾部脾切除術を行った.術後経過は良好で第14病日に退院した.切除標本の検索では,脾動脈瘤が脾内に穿破したことによる脾破裂と診断された.現在外来通院中であるが,左上腕動脈に動脈瘤が出現し経過観察している.

著者関連情報
© 2009 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top