日本臨床外科学会雑誌
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症例
Crohn病の腸管膀胱瘻に対して尿管皮膚瘻を施行した1例
横山 貴司石川 博文坂本 千尋藤井 久男渡辺 明彦
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2009 年 70 巻 1 号 p. 213-218

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抄録

Crohn病は全消化管に生じる難治性の炎症性腸疾患である.特に瘻孔を合併した症例では難治性で,QOLを著しく損なうものである.今回,われわれは約10年間にわたる腸管膀胱皮膚瘻に対して手術を施行し,良好な経過をたどった症例を経験したので報告する.患者は32歳,男性.1995年12月下腹部痛を主訴に発症し,手術が施行されCrohn病と診断された.1997年4月には腸管膀胱瘻の再発を認め,手術を勧めるも拒否された.2004年8月にレミケード(TNF-α抗体)を投与したが改善せず,在宅中心静脈栄養療法や麻薬による疼痛管理が必要となった.2006年5月に同意が得られ再手術を施行し,回腸・S状結腸・上部直腸・膀胱の一部を瘻孔とともに摘出し尿管皮膚瘻を造設した.現在,食事療法,内服加療,レミケード治療により良好な経過をたどっている.

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© 2009 日本臨床外科学会
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