日本臨床外科学会雑誌
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症例
穿刺吸引細胞診後に急速にび慢性甲状腺腫大をきたした腺腫様甲状腺腫の1例
二村 浩史内田 豊義神森 眞山田 哲
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2009 年 70 巻 2 号 p. 375-379

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抄録

腺腫様甲状腺腫の穿刺吸引細胞診後にび慢性甲状腺腫大をきたした症例を経験した.その臨床経過と若干の文献的考察をした.患者は38歳,女性.他院にて,結節性甲状腺腫と診断され,その後増大するため当院紹介となった.既往歴,内服歴特になし.患側の左葉を22G注射針にて穿刺吸引細胞診を施行したところ,2~3分後から頸部圧迫感と疼痛を訴えた.エコーにて健側右葉が1cmから4cmに腫脹し,内部血流の増加を認めた.1時間頸部を氷片で冷却するも改善しないため,ステロイドを投与したところ急速に症状は改善した.9日間内服でステロイドを漸減しエコーを行ったところ,腫脹は改善していた.経時的にエコーで経過を追うことができた.術前後にステロイド投与を行ったところ,手術を完墜し合併症なく退院となった.穿刺吸引細胞診で偶然に甲状腺内の神経を刺激したため,血管拡張,血管透過性亢進物質が放出されて,び慢性の腫脹を引き起こしたものと推測された.

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© 2009 日本臨床外科学会
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