2009 年 70 巻 2 号 p. 416-420
症例は12歳,女児.腹痛,嘔吐を主訴に当院小児科を受診.上腹部全体に圧痛を認め,胸腹部単純X線検査・胸腹部CT検査にて左胸腔内に多量の消化管ガス像を確認した.横隔膜ヘルニアによる腸閉塞と診断し,入院当日に緊急開腹手術を施行した.左横隔膜外側後方の約5×3cmのヘルニア門より横行結腸,下行結腸,空腸,大網の一部が胸腔内に脱出したBochdalek孔ヘルニアであった.ヘルニア門を結節縫合により閉鎖し手術を終了した.術後経過は良好で,第7病日に退院した.
問診にて,入院前日から激しい腹筋運動を施行していたことが分かっており,そのための腹圧上昇が発症の原因と考えられた.