抄録
大腸癌に極めて稀な同時性孤立性脾転移を認めた症例を経験したので報告する.
症例は85歳,女性.1997年初旬より便秘傾向を認め近医を受診し,内服薬の処方を受けていた.その後,症状の改善が認められず,また腹痛も出現したため同年中旬に注腸検査施行した.S状結腸に全周性の狭窄を認め,精査,治療目的で当院紹介入院となる.入院後精査にてS状結腸癌の診断を得たが,腹部CTにて脾門部近傍に腫瘤を認めた.S状結腸癌,脾腫瘍(転移性脾腫瘍疑い)の診断にて,S状結腸切除,脾摘出術を施行した.病理組織診断にて脾腫瘍はS状結腸癌と同一の組織であったため転移性脾腫瘍と診断した.術後4カ月後よりCEAの再上昇を認め,8カ月後に右腎臓,肺への転移を認め術後2年1カ月後に死亡された.