抄録
症例は30歳代,女性.主訴は胸痛,心窩部痛.2008年4月中旬に心窩部痛を認めていた.症状増悪し,さらに胸痛を認めるようになり当院受診となった.画像上,胸腔内に胃泡と内容物の貯留を認めた.上部消化管内視鏡検査では胃内腔に陥凹を認めた.内視鏡下で陥凹部位に造影チューブを挿入し,造影すると胸部レントゲン写真での胃泡と一致して,造影剤の流入を認めた.以上より成人Bochdalek孔ヘルニア嵌頓,ヘルニア内容は胃と診断した.嵌頓部位にドレナージチューブを留置し,入院翌日緊急手術を施行した.胸腔鏡下でヘルニア門と嵌頓した胃,大網間の癒着を剥離し,腹腔鏡下でヘルニア内容を腹腔内に還納した.ヘルニア門の閉鎖は胸腔鏡下で行った.術後,術前に呈していた症状は消失し,以後再発を認めていない.胸腔鏡と腹腔鏡を併用することで,安全に手術を施行でき,良好な経過をえたので報告する.