抄録
症例は57歳,女性.統合失調症で内服治療中に向精神薬の副作用による尿閉と尿路感染症のため泌尿器科入院となった.腹痛精査の上部消化管内視鏡で噴門直下に頂部の潰瘍形成を伴った径5cmの粘膜下腫瘍を認め,生検で胃神経鞘腫と診断された.当科紹介となり胃全摘術を施行した.手術検体での病理組織学的検索では,S100(+),c-kit(-),CD34(-),SMA(-),MIB-1 labeling index5%であり,良性胃神経鞘腫と診断した.術後経過は良好で現在無再発生存中である.本症例において生検検体でのMIB-1 labeling indexは15%と手術検体での5%と比べて高値であった.核分裂像やMIB-1 labeling indexを用いた生検による術前の腫瘍の悪性度評価は困難であり,またGIST(Gastrointestinal stromal tumor)と同様に胃神経鞘腫もpotentially malignant tumorであるため,本症例についても今後の注意深い経過観察が必要であると考えられた.