抄録
進行下部直腸癌に対する術前(化学)放射線照射は欧米では標準治療であるが側方領域再発に関する報告は少ない.今回,術前化学放射線療法(CRT:4Gy×5日間+UFT 400mg×7日間)+根治手術後に,CRT症例に特徴的と思われる臨床経過,病理組織学的所見を呈した骨盤内再発を2例経験したので報告する.症例1は44歳,女性.CRT後に超低位前方切除,両側側方郭清を施行した.50カ月後に腫瘍マーカー上昇を認めPETで右側方領域骨盤内再発と診断し,腫瘤摘出術を施行した.症例2は53歳,男性.CRT後に低位前方切除術,両側側方郭清を施行した.45カ月後に腫瘍マーカー上昇を認めPETで左側方領域骨盤内再発と診断し,腫瘤摘出術を施行した.いずれも治癒切除できたが,摘出標本はリンパ節構造のない腫瘍結節で,神経周囲侵襲や脈管侵襲を豊富に伴っていた.術前照射後には骨盤内再発の発症が遅延しやすく,照射後も側方転移や側方領域再発が発生しうることに注意を要する.