2020 年 12 巻 1 号 p. 83-86
症例の概要:患者は47歳男性で,多数歯欠損による咀嚼困難を主訴に来院した.保存困難な上顎残存歯をすべて抜去し,上顎に即時全部床義歯を装着した.この義歯を診断用および外科用ステントとして用い,インプラントの埋入設計,埋入手術およびプロビジョナルブリッジの装着(即時負荷)を行った.7か月後に最終上部構造を装着した.
考察:全部床義歯の複製によるステントの使用は,設計に近い埋入が行いやすいのみならず術中の修正を容易とし,かつ全部床義歯による咬合関係の正確なトランスファーも可能にし,トラブルの少ない治療経過を得た.
結論:全部床義歯を複製して製作したステントは,インプラント埋入位置決定や咬合採得に役立つ.