抄録
88歳,女性,主訴は全身倦怠感と食欲不振で,近医で肝腫瘍を指摘され,当院紹介受診となった.腹部CTで肝に,分葉状の辺縁不整で,内部不均一の4cm大の腫瘤を認めた.腫瘍は,右肝静脈起始部から足側の下大静脈に,浸潤していた.ICGR15 9.0%,Child-Pugh A,liver damage Aであった.手術所見は,中・左肝静脈共通幹右側の下大静脈前面に,鉗子を頭側から足側に挿入した.肝背側実質と下大静脈は,容易に剥離可能であった.肝下面の下大静脈前面からリスタ鉗子を挿入し,liver hanging maneuver用のテープを通した.Liver hanging maneuverと,Pringle+IVCクランプにて肝右葉切除を施行した.肝実質切離後に,下大静脈の浸潤部を切除した.欠損部は,連続縫合で単純閉鎖した.術後合併症なく,軽快退院し,2年間無再発生存中である.