抄録
大腸癌の心転移は剖検例の0~7.2%程度と報告されているが,生前に診断されることは少ない.われわれは心転移による癌性心タンポナーデをきたした再発大腸癌症例を経験したので報告する.症例は76歳,女性.2007年2月,上行結腸癌の診断で,結腸右半切除術,D3郭清を施行した(A,2型,mod,pSE,ly3,v2,pN3,fStageIIIb).術後補助化学療法としてUFT/LVによる内服治療を施行した.2008年3月,呼吸苦を主訴に前医救急外来受診.心エコーにて心タンポナーデと診断し心嚢穿刺を施行した.細胞診にて粘液産生を伴う異型細胞を認め,癌性心タンポナーデの診断となり当科転院となった.心タンポナーデ改善後,FOLFOX6による全身化学療法を施行中である.大腸癌の心転移は稀であるが,大腸癌術後も癌性心タンポナーデの可能性を念頭におく必要があると考えられた.