抄録
症例は67歳,女性.左乳房に腫瘤を自覚し受診した.超音波検査にて左乳房B領域に8mmの腫瘤像が,マンモグラフィにて境界明瞭な淡い円形の腫瘤影が認められた.MRIではT2強調画像で高信号な腫瘤像がみられ,その時間信号強度曲線は急峻に立ち上がりそれが漸減していた.吸引細胞診では血球と血管成分のみで判定不能であった.針生検の結果,血管性腫瘍と考えられ,さらに細胞異型像,分裂像やMIB-1 indexから低異型度血管肉腫が疑われた.このため,乳腺円状部分切除術が施行された.永久標本では細胞異型像を認めずMIB-1 indexも低かったため最終的には良性の血管腫と診断された.乳房に発生する血管性腫瘍の大部分は悪性の血管肉腫であり良性の血管腫はきわめて稀である.血管性腫瘍は画像診断のみならず病理学的にも良悪性の確定診断に難渋する症例が多いが血管肉腫の予後がきわめて不良であることからその正しい診断および対処が非常に重要である.