抄録
症例は57歳,女性.糖尿病にて加療中,2007年10月中旬より右腰背部痛が出現し当院受診.血液検査にて高度の炎症所見を認め,腹部CTにて右腸腰筋内に5cmの膿瘍を形成していた.右腸腰筋膿瘍の診断で経皮的ドレナージを行ったが,貧血を認めたため原因検索目的にて下部消化管内視鏡検査を行ったところ,上行結腸に2型腫瘍を認めた.生検にて高分化腺癌であり,上行結腸癌の診断にて手術を施行した.上行結腸に5cmの腫瘍があり右腸腰筋に穿通し膿瘍を形成していた.結腸間膜に播種性結節が存在したため,腸腰筋の一部を合併切除して結腸右半切除術(D1)を行った.病理組織診にて腫瘍は膿瘍腔へ達していた.日常の診療において腸腰筋膿瘍に遭遇した場合には自験例のように大腸癌の存在も念頭に置く必要があると思われた.