2009 年 70 巻 8 号 p. 2525-2530
症例は36歳,男性.腰痛を主訴に当科を紹介受診した.白血球,CRP上昇と炎症反応を認め,左側腰部後腹膜にCT,MRI検査で嚢胞性成分を伴う腫瘤として描出された.これらの結果,後腹膜の炎症性腫瘤と診断し,後腹膜アプローチでの鏡視下腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は45×50×50mmで,病理組織学的に神経鞘腫と診断した.また,断端には既存の神経節細胞を認め,腫瘍は交感神経幹と連続していた.
われわれはきわめて稀な腹部交感神経由来の後腹膜神経鞘腫の1例を経験した.後腹膜アプローチでの鏡視下手術は腸管損傷の危険性も少なく安全に行えるので,後腹膜神経鞘腫に対し有用と考えられる.