症例は65歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に当院を紹介受診した.右乳房C領域に約3cmの腫瘤を触知した.マンモグラフィ,乳腺超音波検査からは,浸潤性乳管癌を疑う所見であった.穿刺吸引細胞診では,肉腫様細胞を伴う浸潤性乳管癌が疑われた.胸筋温存乳房切除術および腋窩リンパ節郭清術を施行した.病理組織所見では,腫瘍内に癌腫と肉腫の混在を認め,免疫染色によってAE1/AE3やepithelial membrane antigen(EMA)に陽性の癌腫成分と,vimentinに陽性の肉腫成分が移行領域なく明確に色分けされたことから,本症例は浸潤性乳管癌および肉腫からなる癌肉腫と診断した.乳腺癌肉腫は極めて稀な腫瘍であり,若干の文献的考察を加えて報告する.