抄録
症例は74歳,男性.腹部膨満,下腹部痛を主訴に当院へ救急搬送された.初診時の理学所見上,右下腹部を中心とする筋性防御を認め,腹部CT検査上,腹腔内遊離ガスおよび回腸末端付近に腹水を認めた.虫垂炎穿孔による腹膜炎の術前診断で緊急手術となる.下腹部正中切開で開腹し,膿性腹水と著明に腫大した虫垂突起の中央に穿孔を認めた.また,虫垂根部付近に示指頭大の腫瘤を触知した.盲腸癌もしくは虫垂癌と診断し,回盲部切除術(D2)施行した.病理結果はC,type 1,30×25mm,tub 1 with muc,pSE,ly0,v0,pN1(3/7),D2,stageIIIa,Cur Aで,盲腸癌による虫垂開口部の閉塞が虫垂穿孔の原因と推測された.術後27日退院した.術後にカペシタビン投与を行ったが,術後8カ月で腹膜再発し,FOLFOX6による化学療法中である.術前診断が困難な穿孔性虫垂炎発症の盲腸癌の1例を報告した.