抄録
症例は48歳,女性.深夜に突然の下腹部痛を認め,当院救急に搬送された.腹部単純CTにてイレウスが疑われ,経過観察入院となった.腹痛が増悪するため造影CTで再検したところ,腹水を認め小腸ループの拡張も悪化していた.小腸ループは限局性であり,腸管の位置異常も疑われたため内ヘルニアの可能性を念頭に入れ,小腸の絞扼性イレウスの診断で発症よりおよそ15時間後に緊急手術を施行した.開腹するとS状結腸間膜に直径約2cmの異常裂孔が存在し,小腸が内側から外側へ貫通して脱出,絞扼されており,S状結腸間膜裂孔ヘルニアによる腸閉塞と診断した.整復後,腸切除をすることなく裂孔の閉鎖のみで手術を終了,術後5日目に軽快退院した.S状結腸間膜裂孔ヘルニアはいまだまれであり,文献的考察を加えて報告する.