抄録
小腸間膜デスモイド腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は69歳,男性.慢性閉塞性肺疾患,高血圧の経過観察中に施行した血液検査で低蛋白血症および腫瘍マーカーの上昇を認めたため,腹部CTを施行したところ,腹腔内に径20cmの腫瘍を認めた.腫瘍は腸管を圧排するような形で存在し,注腸造影からも腸管への浸潤は認められなかった.血管造影で上腸間膜動脈からの栄養血管を認めた.原発巣不明の腹腔内腫瘍の診断で手術を施行した.腫瘍はTreitz靱帯より110cmの小腸間膜より突出するように存在し,周囲との癒着は全く認められなかった.腸間膜および小腸を合併切除して腫瘍を摘出した.腫瘍は18×15×9cmの黄白色の充実性腫瘍で重量1,400gであった.病理所見は硝子化を伴う豊富な線維性基質を背景に紡錘形細胞の疎な増殖を認め,小腸間膜由来のデスモイド腫瘍と診断した.現在,術後5年無再発で経過観察中である.