2010 年 71 巻 11 号 p. 2932-2937
Hepatic peribiliary cystsは比較的太い胆管に沿って嚢胞が集簇する疾患で,良性の疾患である.嚢胞性状や周辺環境の変化により多彩な画像所見を呈する.症例1は,左グリソン鞘に沿って微細な嚢胞の集簇と線維化が認められ,他に胆嚢腺筋腫症,総胆管の拡張が併存し,術前診断が確定しないまま手術にのぞんだ.術中所見でも肝内胆管癌を疑い,肝左葉切除を行った.症例2においては,肝内胆管癌に定型的な画像所見を有するhepatic peribiliary cystsが併存していた.症例1の経験もあり診断は容易であった.胆管癌が比較的近い位置に存在していたが,相互の関係はないものと思われた.HPBCには胆管癌との鑑別に難渋する胆管狭窄例もあるため,手術が必要となる場合も存在する.胆管狭窄の鑑別疾患として考慮されるべきと考えられた.