2010 年 71 巻 2 号 p. 454-456
症例は50歳,女性.間欠的腹痛を主訴に受診.腹膜刺激症状を認め,腹部CT検査では径6cmの便塊,壁の肥厚したS状結腸,周囲脂肪組織濃度の上昇を認めた.急性腹症の診断で開腹したところ,消化管穿孔はなく,S状結腸に便塊が嵌頓し,腸壁が炎症性の肥厚をきたしていた.病変部を切除し,内腔を観察したところ粘膜下に多発する腫瘤を認めた.病理診断は大腸のlipomatosisであり,腹痛との直接の関連はないものと思われた.大腸のlipomatosisは非常に珍しく,文献的考察を加え,報告する.