日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵リンパ上皮嚢胞の2例
望月 聡之池松 禎人中田 祐紀林 忠毅金井 俊和西脇 由朗
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2010 年 71 巻 2 号 p. 506-511

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抄録

膵リンパ上皮嚢胞(lymphoepitehlial cyst)は男性に発生する稀な良性疾患で術前に確定診断がつけば絶対的手術適応はないとされる.しかし,多房性嚢胞でCA19-9が高値を示すことが多いため悪性疾患を否定できず切除されることが多い.今回,われわれも術前正診がつかず手術を施行した2例を経験した.症例1は64歳の男性でCA19-9の上昇を認め悪性疾患を否定できず粘液性嚢胞腫瘍を疑われたため,症例2は63歳の男性で,画像診断より胃gastrointestinal Stromal Tumor(GIST)を最も疑われ,両症例とも膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的には両症例とも嚢胞壁は重層扁平上皮で被覆され,間質内にリンパ球の集簇やリンパ濾胞を認め,免疫組織染色検査では重層扁平上皮に一致してCA19-9陽性であったため膵リンパ上皮嚢胞と診断した.

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© 2010 日本臨床外科学会
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