日本臨床外科学会雑誌
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症例
特発性大腸穿孔を2回発症し救命した高齢者の1例
池西 一海成清 道博志野 佳秀中谷 勝紀
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2010 年 71 巻 3 号 p. 742-746

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抄録

特発性大腸穿孔を2回発症した,まれな症例を経験した.症例は78歳の女性で,平成18年3月26日に特発性大腸穿孔を発症しハルトマン手術を施行され,外来に通院していた.平成21年2月1日突然の左下腹部痛を訴え精査加療目的で緊急入院した.保存的治療を行っていたが症状が増悪したため,大腸内視鏡検査を施行した.人工肛門より約5cm口側に径約3cmの巨大な楕円形の陥凹を認め,粘膜は壊死していた.腹部造影CT所見では腸間膜側に穿通し膿瘍腔を形成していたため手術を施行した.手術所見では人工肛門口側5cmに径3cmの穿孔部を認めた.病理組織学的検査所見上は憩室や潰瘍,炎症性疾患で穿孔していた所見はなく特発性大腸穿孔と診断した.このように特発性大腸穿孔を繰り返し発症した症例は本邦では過去に4例であった.特発性大腸穿孔は原因不明な要素も多く,繰り返し発症することもあるため外来で排便習慣の確認など注意深い経過観察が必要である.

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