日本臨床外科学会雑誌
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症例
2度の大腸穿孔をきたし開腹手術により救命した劇症型アメーバ大腸炎の1例
鳥口 寛端 裕之中島 康夫花房 徹兒
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キーワード: アメーバ大腸炎, 劇症型
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2010 年 71 巻 3 号 p. 747-751

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抄録

症例は70代男性で,2006年11月に下痢,血便,嘔気を主訴に近医から当院へ転院した.翌日に腹痛の増悪を認め,CTにて遊離ガス像と多量の腹水を認め大腸穿孔の診断で緊急手術を施行した.穿孔部位は盲腸と横行結腸であり,結腸右半切除,回腸瘻造設術を施行した.しかし,腸炎の原因がつかめないまま術後4日目に再穿孔をきたし,2度目の緊急手術を施行した.回腸瘻の壊死および横行結腸脾彎曲部と下部直腸に穿孔を認め結腸直腸亜全摘,回腸瘻再造設術を施行した.初回術後10日目に摘出標本の病理学的診断にて赤痢アメーバ大腸炎と診断され,メトロニダゾールの投与を開始し軽快退院した.赤痢アメーバ大腸炎は近年日本でも増加傾向にあり,下痢,血便を主訴とする患者にあたっては本症も念頭におき,重篤な合併症をきたす前に適切に治療することが救命に重要である.

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© 2010 日本臨床外科学会
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