日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
結腸間膜穿通を合併した上行結腸癌の2例
益満 幸一郎前村 公成青木 雅也田上 聖徳原口 尚士池江 隆正
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 3 号 p. 771-776

詳細
抄録

症例1は78歳,男性.心窩部痛を主訴に来院.右下腹部に筋性防御,採血でCEAが高値.腹部X線,腹部CT所見で腹腔内遊離ガス像はないが,腸間膜内に異常なガス像があり,癌合併腹膜炎として緊急手術施行.上行結腸癌と腸間膜内に糞便を認め,右半結腸切除を施行.標本は上行結腸に1型の腫瘍と,その口側の腸間膜側に穿通があり,その粘膜には虚血性変化を認めた.症例2は73歳,男性.腹痛にて当院に救急搬送される.腹部CT検査で腸間膜内に異常ガス像を認め,上行結腸間膜穿通と診断,緊急手術施行.腸間膜内に多量の便塊と上行結腸癌を認め,右半結腸切除を施行.標本は上行結腸に3型の腫瘍と口側の腸間膜側に穿通部を認めた.病理では穿通部に循環障害を指摘された.いずれも比較的順調に経過し,退院した.本症は稀な腸間膜穿通を合併した上行結腸癌だが,診断には腹部CT検査が有用であり,緊急手術で一期的吻合を行い救命しえた.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top