2010 年 71 巻 3 号 p. 766-770
症例は63歳,女性.2007年8月の検診にて左頸部腫瘤と右肺野異常影を指摘され当院受診した.精査にて転移性甲状腺癌,転移性肺癌と診断された.原発巣であるが病理組織形態や免疫染色の結果から大腸癌が疑われ,腸内視鏡検査を施行し上行結腸癌(病期IV)と診断された.治療は原発巣の狭窄が強いため2007年10月に結腸右半切除術を施行し,2007年11月よりmFOLFOX6を4コース施行した.2008年1月の効果判定ではNCであり他転移巣の出現もないことから,2008年2月に甲状腺左葉切除,右肺上葉切除を施行した.病理結果はmuc~mod SS N1 H0 M1 stage IVであった.術後経過は良好で,TS-1単剤にて術後化学療法を施行中である.また,術後1年3カ月になるが現在まで再発を認めていない.