日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
術前に腹腔内出血をきたした有茎性小網GISTの1例
五味 邦之代田 廣志島田 宏矢澤 和虎梶川 昌二中村 智次
著者情報
キーワード: GIST, 小網, 腹腔内出血
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 3 号 p. 828-832

詳細
抄録

症例は40歳,男性.検診超音波で腹腔内腫瘤を指摘され当院を受診した.腹部CTで肝下面に径10cm大で嚢胞性成分と充実性成分が混在する腫瘤を認め経過観察とした.3カ月後には腹部膨満感が出現し,腹部CTで腫瘤は左上腹部に移動し腫瘤径が増大していたため摘出術を予定していたが,術前に腹部膨満感の消失と貧血が出現.腹部CTにて腫瘤の縮小と腹腔内出血の所見があり腫瘍破裂による腹腔内出血と診断.開腹術を行ったところ血性腹水と小網に基部をもつ有茎性の嚢胞性腫瘤が認められ摘出術を行った.病理組織学的診断でKIT,CD34が陽性であり小網原発GISTと診断された.術前に腹腔内出血をきたしたためClinical malignat GISTとなるが術後補助療法は行わず経過観察を行っており,術後9カ月経過した現在まで無再発である.小網原発の有茎性GISTは極めて稀であり今後も厳重な経過観察が必要と考える.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top