日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腸穿孔をきたした腸間膜静脈硬化症の1例
永吉 盛司高江洲 享長嵜 悦子上江洲 徹下地 光好赤崎 満喜友名 正也
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2010 年 71 巻 3 号 p. 833-838

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抄録

症例は77歳,女性.発熱,嘔吐を主訴に来院し胃腸炎を疑われて入院した.翌日朝より下腹部痛が出現し徐々に痛みが増強し,その晩ショック状態となった.腹部X線写真では右側結腸壁に沿って石灰化が存在しており,腹部CTでは上行結腸から横行結腸にかけての壁肥厚と石灰化を認めた.また腹水とfree airを認めたため消化管穿孔による汎発性腹膜炎を疑い緊急開腹手術を行った.術中所見では膿性の腹水を認め,盲腸から下行結腸にかけて腸管壁は暗紫色調で硬く触知した.上行結腸に径約1cmの穿孔部を認め虚血性腸炎が原因の大腸穿孔と診断し,色調不良であった回腸末端から下行結腸を切除し回腸瘻を造設した.術後の病理検査では静脈壁の線維性肥厚と静脈周囲の石灰化,粘膜下層の線維化が認められ腸間膜静脈硬化症と診断された.

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© 2010 日本臨床外科学会
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