抄録
S状結腸憩室炎が原因と思われる結腸膣瘻に対して腹腔鏡補助下S状結腸切除を施行し治癒した1例を経験した。症例は77歳女性で,37歳時に子宮筋腫にて子宮全摘術,76歳時に当院で胃癌にて腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行した.以後外来フォローアップ中の平成20年6月頃より膣からの便汁の排泄を認め,大腸内視鏡検査下の造影でS状結腸憩室と膣との瘻孔を認めた.同8月11日に腹腔鏡補助下S状結腸切除施行した.炎症の波及の及んでいない内側からのアプローチで結腸の授動を行い,瘻孔部周辺は膀胱壁とも強固に癒着していたので瘻孔部を結腸側で切除した.胃残結腸粘膜を焼灼したが,瘻孔部の閉鎖は行わなかった.術後は創感染を併発したが以後膣からの便汁の排泄は認めず同9月15日に退院になった.結腸憩室炎は強い炎症,癒着を伴うことが多いが当症例のように瘻孔を形成するような場合でも腹腔鏡手術の適応も考慮すべきであると考えられた.