抄録
症例は55歳,女性.検診で便潜血反応陽性を指摘され当院を受診した.全大腸内視鏡検査で上行結腸憩室内に径12mmの緊満感を有する発赤調隆起性病変を認め,クリスタルバイオレット染色後の拡大観察でVN型pit patternを呈し,粘膜下層以深の癌の露出と判断した.超音波内視鏡で腫瘍本体は漿膜外の腹腔内に主座を有することが判明し,生検診断はGroup5(tub1)であった.腹骨盤部CTで虫垂癌の上行結腸浸潤と診断の上,右半結腸切除+D3郭清術を施行した.最終診断は,appendiceal carcinoma(V,pType5,45×23mm,pSI,ly1,v0,pN0,sH0,sP0,sM0,pStageII)であった.術後2年11カ月経過した現在,無再発生存中である.
本症例は,虫垂癌が上行結腸憩室内に浸潤して,限局性に腫瘍が結腸内腔に露出し,特異的な内視鏡像を呈したと考えられた.