抄録
症例は73歳,男性.右下腹部痛,右大腿痛を主訴に来院した.右下腹部に腹膜刺激徴候を認め,採血検査で炎症所見上昇があり,急性虫垂炎を疑い腹部CTを施行し,腸腰筋膿瘍を伴った急性虫垂炎と診断された.後腹膜の腸腰筋膿瘍は比較的限局しており,腹腔鏡下虫垂切除術およびドレナージ術を施行した.虫垂は盲腸背側にあり,先端が後腹膜に穿破し膿瘍を形成していた.術後10日目のCTで遺残膿瘍はなく,術後25日目に退院した.本症例が鏡視下に治療を完遂できた要因は,膿瘍の限局性,有効な洗浄ドレナージ,そして,良好な抗生剤感受性と考えられた.本症例は,患者QOLを保ちつつ治療することができ,腹腔鏡手術の適応を広げていく上で興味ある症例と思われた.