日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆管内腫瘍栓を伴い閉塞性黄疸をきたした肝細胞癌の2切除例
江本 慎神山 俊哉中西 一彰横尾 英樹松下 通明藤堂 省
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2010 年 71 巻 5 号 p. 1258-1263

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抄録

胆管内腫瘍栓を伴う肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)は,その頻度が3.4%と稀な疾患である.今回閉塞性黄疸にて発症した胆管内腫瘍栓を伴うHCCの2例を経験した.症例1は75歳,男性.HCV陽性.AFPの上昇を認め,精査したところ,S7にHCCを認めた.閉塞性黄疸に対しendoscopic nasal biliary drainage(ENBD)を施行し,減黄した.残肝容積の確保のため,percuteneous transhepatic portal embolization(PTPE)を施行したのちに肝右葉切除術・胆管内腫瘍栓摘出術を行った.症例2は71歳,男性.近医にて黄疸を指摘され,受診した.閉塞性黄疸を伴うS7のHCCと診断された.ENBDにて減黄し,PTPEにて残肝容積の確保を行った後,肝右葉切除術・胆管内腫瘍栓摘出術を行った.いずれの症例もENBDによる減黄,PTPEによる残肝容積の確保を行い,安全に切除することができた.腫瘍栓は胆管断端より摘出しえた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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