日本臨床外科学会雑誌
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症例
自己免疫性溶血性貧血を合併した肺癌の1手術例
岩崎 靖西山 勝彦出口 聡美川田 雅俊
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2010 年 71 巻 6 号 p. 1440-1444

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抄録

症例は79歳,男性.労作時に動悸を認め,精査により自己免疫性溶血性貧血(Autoimmune hemolytic anemia:以下AIHAと略す)と診断されてステロイド治療を開始された.入院時の胸部X線,CTで右肺下葉に腫瘍を認め,AIHAの治療中に精査を行い,TBLBで扁平上皮癌と診断した.ステロイド治療で直接クームステストが陰性になり貧血が改善した後に,右肺下葉切除術を施行した.病理検査で,中分化扁平上皮癌,pT2b,N0,M0,stageIIAであった.術後,労作時に低酸素血症を認めたため在宅酸素療法を導入し退院.術後もAIHAのコントロールは良好でステロイドを減量中である.今回,肺癌とAIHAはほぼ同時に認められておりAIHAが肺癌の腫瘍随伴症候群として発症した可能性があり,また肺癌とAIHAの合併は稀であるので報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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