抄録
大腸穿孔はバリウム胃透視の稀な合併症である.憩室炎や癌など既存の大腸疾患が関与する場合が多く,バリウム停滞のみによる穿孔例の報告は少ない.本疾患を3例経験し,文献的考察を加えて報告した.症例1:71歳,男性.胃透視の2日後に初回便があり,その後腹痛を自覚.大腸穿孔と診断しハルトマン手術を施行.直腸Ra前壁の穿孔であった.症例2:70歳,女性.透視翌日から間欠的な腹痛あり.2日後に腹痛の増悪にて受診.バリウムによるS状結腸緊満を認め,処置にて中等量のバリウム便あり.翌日さらに増悪し,大腸穿孔と診断,ハルトマン手術を施行.S状結腸間膜側の穿孔であった.症例3:73歳,女性.透視後に排便が少量しかなく,3日後に腹痛を自覚.大腸穿孔と診断しハルトマン手術を施行.S状結腸前壁の穿孔であった.透視後の大腸穿孔は稀だが医原性であり,時に不幸な転帰に至る.本疾患に留意し,検査後の排便状況の把握が重要である.