日本臨床外科学会雑誌
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症例
副甲状腺嚢胞内出血の自然穿破により頸部皮下出血をきたした1例
二村 浩史二村 聡山田 哲山田 雅恵神森 眞清水 一雄
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2010 年 71 巻 7 号 p. 1714-1718

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抄録

患者は78歳,女性.2009年5月,頸部違和感,咽頭痛の後,頸部腫大,頸部皮下出血を認め当院紹介となった.入院時検査所見で橋本病と貧血を認めた.血清カルシウム値は正常であった.頸部に圧痛を訴え,CTにて左甲状腺下極の血腫を,造影CTで腫瘤内に血流を認めたが,動脈瘤は認めなかった.上部消化管内視鏡では咽頭喉頭に壁外性の圧排と内出血を認めた.ガリウムシンチにて集積を認めず,腫瘍ではなく甲状腺嚢胞の出血と診断した.入院後絶食し頸部冷却と止血剤投与にて一週間後に手術を施行した.皮下に内出血と甲状腺下極に連続しない内出血した40mm大の嚢腫を認め,左下副甲状腺嚢胞内出血と診断し摘出した.術前血清インタクトPTHの上昇はわずかであったが,内腔穿刺液のインタクトPTHは59,110pg/mlと高値であった.病理組織学的には副甲状腺嚢胞と橋本病であった.副甲状腺嚢胞内出血の自然穿破で頸部皮下出血をきたした患者を経験したので報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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