日本臨床外科学会雑誌
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症例
低血糖症を呈した巨大乳腺葉状腫瘍の1例
味元 宏道松原 長樹
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2010 年 71 巻 7 号 p. 1719-1725

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抄録

症例は69歳,女性.平成18年頃より,左乳房腫瘤に気づいていた.徐々に増大し,半年前より腫瘤から分泌物を認めるようになった.腫瘍の大きさにより歩行ができなくなり,平成20年7月救急車で来院した.腫瘤はサッカーボール大で表皮より露出し肉芽腫様で,分泌物を認めた.可動性は良好であった.CT検査では左乳腺領域にbulky massがあり,胸筋および皮膚への増大がみられた.Biopsy検査ではphyllodes tumorと診断された.入院後20日目朝突然意識消失発作(III-300)をきたした.この時血糖値は34mg/dlで,ブドウ糖の静注を行い,意識は回復した.入院後24日目左乳房切除術(Br+Mj+Mn)を施行した.術後経過は良好で,血糖値も正常に回復した.病理組織学的検査では不規則な乳管およびその周囲の間質が増生し,borderline typeのphyllodes tumorと診断された.Phyllodes tumorが低血糖症を呈するのはまれと思われるので報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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