2010 年 71 巻 8 号 p. 1985-1989
症例は52歳,女性.検診時の胸部X線写真で左下肺野に約1cm大の腫瘤影を指摘され近医を受診した.胸部CTで左肺舌区に境界明瞭な結節影を認め,肺動静脈瘻を疑われて当院を紹介された.3D-CTで左肺S4末梢に8mm大の結節影と結節に流入出する肺動静脈を認めたため肺動静脈瘻と診断し,胸腔鏡下に腫瘤を含めた左肺S4部分切除術を施行した.肺動静脈瘻は常染色体優性遺伝疾患であるRendu-Osler-Weber病の部分症状として認められることがあるが,本症例は遺伝性を認めず,単発性であり,口唇などの毛細血管拡張を認めなかった.
孤立性肺動静脈瘻の術前評価に3D-CTが有用であった症例に対して胸腔鏡下肺部分切除術を施行し,良好な結果を得たので若干の文献的考察を加えて報告する.