日本臨床外科学会雑誌
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症例
9年の経過観察後肺切除を行った肺類上皮血管内皮腫(PEH)の1例
福永 亮朗笹村 裕二武山 聡沼田 昭彦子野日 政昭高田 明生
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2010 年 71 巻 8 号 p. 1990-1994

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抄録

症例は66歳,女性.9年前より右肺の結節影を指摘され経過観察中であったが,腫瘤の増大傾向を認めたため診断治療目的で外科紹介となった.CT上は右S4に2cm大の腫瘤と両側多発性に5mm以下の結節影を認めた.悪性も否定できないため診断の目的で右S4の腫瘍に対し,胸腔鏡下中葉切除を行った.切除標本の病理組織検査にて肺類上皮血管内皮腫(pulmonary epithelioid hemangioendothelioma,以下PEH)の診断を得た.PEHは進行性で低悪性度の血管内皮細胞由来の腫瘍であり,稀な疾患である.手術後2年経過したが,胸部CT上残存する結節影の増大傾向を認めず無症状であるため,無治療で経過観察中である.

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© 2010 日本臨床外科学会
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