2010 年 71 巻 8 号 p. 2016-2020
食道癌に対する,根治的治療として化学放射線療法(definitive chemoradiotherapy:dCRT)が広く行われるようになった.そのため,遺残・再発に対するsalvage surgeryの機会が増えている.食道癌取扱い規約第10版には,salvage surgeryの中に,食道切除術だけでなく,リンパ節郭清術や内視鏡的治療も含まれている.
私達は,StageIVa食道癌に対し,dCRTを施行し,完全奏効となった後,腹部リンパ節再発をきたしたため,salvage surgeryとして腹部リンパ節郭清術を施行した症例を2例経験した.1例は,術後2.2年で癌死したが,もう一例は,術後2.8年無再発生存中である.
Salvage surgeryとしての腹部リンパ節郭清術は,有用な治療のひとつと考えられる.
今後このような食道切除以外のsalvage surgeryの増加が予想される.